認知機能発達研究
~子供の健やかな発達と成長を目指して~

本研究部門では、人間の脳と心の関連を脳機能イメージング装置によって解明しようとする脳科学研究を、教育学や認知心理学と融合することにより、子ども達の心身の健やかな成長や発達を促し、学習の意欲、論理的思考力、創造性、知的好奇心、探究心などを向上させる新しい具体的な教授・学習システムの研究開発を行います。

現状では健康な子ども達の認知機能の発達に関する科学的データがほとんど存在しません。そこでこれまで、本研究部門では、MRIを用いた小児の脳形態、脳機能、認知機能の発達に関して、3年間にわたる縦断研究を行い、現実社会において子どもを取り巻くさまざまな環境因子と認知機能発達の関連をアンケートや認知機能テストによって調査研究することにより、子どもの心を豊かに育む生活や家族関係の在り方を検討してきました。我々の研究を通して、小児の健常データベースを作成し、それによって小児の正常脳発達が明らかになってきました[文献1,2, 3, 4]。また、小児の認知能力や認知スタイルと脳形態の関係があることも明らかになりました[文献5, 6]。さらに、小児の睡眠時間と、脳の記憶を司る領域である海馬に有意な相関が見つかるなど、生活習慣が小児の脳形態に影響を与える可能性も示唆されてきています[文献7, 8]。

本研究部門の研究によって、心身の健やかな成長や発達を促し、学習の意欲、論理的思考力、創造性、知的好奇心、探究心などを向上させる新しい具体的な教授・学習システムの基礎理論が完成することが期待されます。また、我々の正常脳の発達のデータベースを、発達障害の様々な疾患脳と対比することで、発達障害の機序の解明に繋がることが期待されます。

例えばこんな研究
  • 【脳科学に基づいた、子どもの脳の健やかな発達を促す生活習慣の提案】
    小児の脳形態MRI、脳機能MRI、認知力テストおよび生活習慣データを用いた3年間の縦断データを用いて、小児の脳形態、脳機能、認知能力の3年間の変化が、小児のどのような生活習慣と関係があるのかを明らかにすることで、脳科学的知見に基づいた、子どもの脳の健やかな発達を促す生活習慣の提案を行います。
  • 【年齢相応の脳発達を基礎とした学習システムの開発】
    小児の脳形態MRIを用いて、各年齢における年齢相応の脳灰白質、白質体積を求め、更に機能MRIを用いて計算、記憶などの簡単な課題を行う。加えて、種々の認知力テストを行い、年齢相応の脳発達を明らかにします。これらの結果を用いて、学習の意欲、論理的思考力、創造性、知的好奇心、探究心などを向上させる新しい具体的な教授・学習システムの基礎理論が完成することを目標にします。