脳機能開発研究
~スマートエイジング社会を目指して~

本研究では、脳科学の知識と技術をいかして、何らかの外的刺激もしくは精神作業によって、人間の脳機能や認知機能を維持・向上させたり、疾患や情動状態を改善・回復させ、その結果、全てのひとが、いつまでも健やかで豊かな生活を送ることが可能となる持続的社会の創生を目指しています。

加齢に伴い知恵や知識などを必要とする認知活動は向上しますが、人間のみが特別に発達している前頭前野の機能は成長が終わった直後から直線的に低下します。 我々は、加齢によって失うものの多くは、この前頭前野の機能低下によるものと考え、主として健康な人の前頭前野機能を維持・向上させるシステム開発を行ってきました。これまでに認知症の症状改善(学習療法)、予防につながるシステムを提案し、実際に広く社会で使われています。

本研究は、脳機能イメージングを用いた脳科学基礎研究から、脳MRIや心理指標を評価指標とし、健常群や疾患群を対象とした生活介入実験、社会実践研究、社会貢献活動まで、広い範囲の「人間」に関わる研究を展開しています。

例えばこんな研究
  • 【モビリティ&スマートエイジングプロジェクト】
    東北大学のシーズを融合して、自動車の持つ負の側面(体力低下、環境への影響など)をカバーする、運転するだけで心身の健康を向上させるような、従来の発想にはない、まったく新しい車の在り方・付加価値を持つ車の開発研究を行っています。
  • 【ワーキングメモリートレーニング法開発研究】
    健常人を対象として、脳機能イメージング研究によってワーキングメモリーに負荷を与える課題を策定し、その課題を生活介入として実践させることで、ワーキングメモリー能力の向上、およびそれの般化効果、脳形態、脳機能、脳血流、脳活動の同期などさまざまな神経メカニズムの変化の検証を行ってきました。他にも単純な課題を素早く行う訓練(処理速度課題訓練)や計算課題を素早く行う訓練、複数のことを同時に行う訓練などに関して同様の研究を行ってきました。
  • 【メンタルヘルス改善のための介入研究】
    成人や被災者を対象に、植物を育てる園芸療法やバイオフィードバック訓練(脳血流や心拍などのシグナルを機器からえてコントロールする訓練)といったさまざまな生活介入方法を用い、メンタルヘルス、ストレスホルモン、脳形態などの変化・改善がみられるか研究してきました。
文献
1. Takeuchi H, Taki Y, Nouchi R, Hashizume H, Sekiguchi A, Kotozaki Y, Nakagawa S, Miyauchi CM, Sassa Y, Kawashima R.
"Effects of working memory-training on functional connectivity and cerebral blood flow during rest."
Cortex, in press.
2. Takeuchi H, Kawashima R.
"Effects of processing speed training on cognitive functions and neural systems. (review)"
Reviews in the Neurosciences, 23(3): 289-301, 2012.
3. Takeuchi H, Taki Y, Sassa Y, Hashizume H, Sekiguchi A, Fukushima A, Kawashima R.
"Working memory training using mental calculation impacts regional gray matter of the frontal and parietal regions."
PLoS ONE, 6(8): e23175:1-12, 2011.
4. Takeuchi H, Taki Y, Hashizume H, Sassa Y, Nagase T, Nouchi R, Kawashima R.
"Effects of training of processing speed on neural systems."
Journal of Neuroscience, 31(34): 12139-12148, 2011.
5. Takeuchi H, Taki Y, Kawashima R.
"Effects of working memory training on cognitive functions and neural systems. (review)"
Reviews in the Neurosciences, 21(6): 427-449, 2010.
6. Takeuchi H, Sekiguchi A, Taki Y, Yokoyama S, Yomogida Y, Nozomi K, Yamanouchi T, Suzuki S, Kawashima R.
"Training of working memory impacts structural connectivity."
Journal of Neuroscience, 30(9): 3297-303, 2010. Scored in Faculty of 1000
7. Uchida S, Kawashima R.
"Reading and solving arithmetic problems improve cognitive functions of normal aged people –A randomized controlled study."
Age. 30: 21-29, 2008.
8. Kawashima R, Okita K, Yamazaki R, Tajima N, Yoshida H, Taira M, Iwata K, Sasaki T, Maeyama K, Usui N, Sugimoto K.
"Reading aloud and arithmetic calculation improve frontal function of people with dementia."
Journals of Gerontology, Series A, Biological Sciences and Medical Sciences, 60A: 380-384, 2005.